チューナーの必要性
モノバンドアンテナにあってもその性能を最大限に生かすには送信機側との整合が欠かせません。
昨今のリグにはオートチューナー(ATU)なる便利な回路を内蔵した機器が販売され多用されています。
しかし、その性能を発揮するには最低限の出力が必要となりQRPでの運用には向きません。
つまり、送信出力の一部がATUに食われるのです。
しかも内蔵式の場合、ATUを作動させるとセットの出口からアンテナの入り口までのケーブルもアンテナの一部として働かせている可能性があります。
電波はアンテナ部分から放出すべきなのです。
このチューナーでは途中のケーブルをアンテナとする事無く、ロスを意識しながらのご紹介になります。
ロスを気になさらない方には無用な説明です。
でもロスでロスまで届いたら痛快ではありません?
私の技量では書きすぎですがお許し下さい。
Hamstick Antenna の整合
モバイル用アンテナとしての説明書には、給電端にCまたはLを加え、整合する方法が書かれています。
アパマン用固定アンテナとして使うにはバンドの移動毎に調整が必要では役に立ちません。
尤も1バンドだけでお使いなら初期の実験初期に使ったポリ容器によるマニュアル式で充分です。
経年による再調整も避けたいため密閉型金属ケースが必要になりました。
アパマン用アンテナとして登場
5年間の実験を経、現在のπマッチ回路での好成績で自信を持つまでに至りましたので発表致します。
QRPであるため容易に実現出来、更なる改良改善の可能性も含め、先輩のご指導も期待しております。
回路部品のCにはマイカトリーマーを使いバンド毎の容量調整には極板の枚数を加減し部品の共通性も考慮しました。
再現実験をされる方は変化容量の多いポリバリコンを使う事で費用も少なく容量が直視可能ですから是非お勧めしたい部品です。
呉々もQRPでの運用に留めて頂きたい。
コイルにはφ1.6のスズメッキ線を使いケース内部のスペースを考慮した外形の空芯コイルです。
πマッチの係数に関して
現在までの成果を元に諸数値表を記載します。
CとLとの係数は現在の参考値(CQ誌2006年6月号付録CD-ROMによる)とはかなりの相違が認められます。
その原因には理論的不明解な部分やグランド部分、アンテナの特性値などが考えられましょう。
このシステムを2011ハムフェアーQRPクラブで展示し多くのご意見を頂戴しました。
今後、回路を含む諸係数を適正に選択すればより優れたシステムとして利用されると確信しています。
実験初期のマニュアルチューナー
Band | 参考値 | 実測値 | ||||
C1 PF | C2 PF | L μH | C1 PF | C2 PF | L μH | |
40m | 600 | 500 | 0.68 | 701 | 699 | 0.68 |
20m | 300 | 250 | 0.34 | 296 | 294 | 0.32 |
17m | 230 | 200 | 0.26 | 181 | 390 | 0.26 |
15m | 200 | 170 | 0.23 | 84 | 72 | 0.17 |
12m | 170 | 150 | 0.2 | 84 | 83 | 0.18 |
10m | 150 | 130 | 0.18 | 70 | 71 | 0.15 |
6m | 80 | 70 | 0.09 | 64 | 63 | 0.07 |
回路部品 C の参考写真
専用チューナーとダミーチューナー